『アナロジア』AIの先にくるものとは…
「AIの先にあるもの」──人類がデジタルの先に到達するのは「アナログ」の時代!?
みなさんこんにちは。
ディーゲラーです。
久しぶりのオフィシャル投稿となりますが、ここ最近のAIの話題が日常のテーマとなっている中、その先にあるものってどんな時代なんやろ。
といった事を考えていると、なにやら不気味な書籍を見つけましたので、今回はそのテーマで今後起こりえる時代と向き合っていこうと思います。
未来に進むとは、デジタル化すること。
あなたはそう思い込んでいませんか?
DXやデータドリブンの重要性が叫ばれるなか、コンピューティングやテクノロジーを人類が発展させた先で重要なのは、逆説的な考え方かもしれませんが、むしろデジタルの対義語であるアナログなのかもしれません。
デジタルは、情報やデータを離散的な数値として扱う技術です。これにより、情報の処理や伝達を効率的に行うことができます。一方で、アナログは、情報やデータを連続的な値として扱う技術です。これにより、デジタルでは表現できない滑らかな変化やニュアンスなどを表現することができます。
そのきっかけとなったのが、今回手に取った書籍、アナロジア、AIの次に来るもの。
その著者は、科学史家のジョージ・ダイソン氏。世界的物理学者フリーマン・ダイソン氏と、数学者ヴェレーナ・ヒューバー・ダイソン氏の息子であり、姉は投資家、ITジャーナリストのエスター・ダイソン氏という生粋の科学一家の生まれであり、『アナロジア』、「第3章 爬虫類の時代」や「第4章 イルカの声」などでは、家族のエピソードも文中に盛り込まれています。
読んでみると、どこか合点がいく部分も多く見受けられ、それは決してデジタルから本を読む時代になるというものではないという事が根強く書かれていたように見受けられます。
デジタルは、効率化や正確さなどの面で大きなメリットをもたらします。しかし、一方で、人間の感覚や感情を完全に理解したり表現したりすることはできません。また、デジタル化によって、情報の量が増えすぎると、人間が処理しきれなくなってしまうという問題もあります。
そこで、デジタルとアナログを組み合わせることで、それぞれのメリットを活かしながら、欠点を補うことが重要になってきます。例えば、デジタルで効率的に情報を集めた上で、アナログで人間の感覚や感情を理解することで、より豊かな情報を得ることができます。また、デジタルで大量の情報の中から必要な情報を抽出した上で、アナログで人間が理解しやすい形で表現することで、情報の理解や活用を容易にすることができます。
このように、デジタルとアナログは、対立するものではなく、互いに補完し合うものとして捉えるべきです。デジタルを基盤にしながら、アナログの力を活用することで、より人間らしい社会を実現することができるのかもしれません。
例えば具体的な例をいくつか挙げてみます。
デジタルで収集した顧客の購買データを分析することで、顧客のニーズや好みを把握することができます。しかし、顧客の感情や感覚を完全に理解することはできません。そこで、アナログのアンケートやインタビューによって、顧客の声を直接聞くことで、より深く理解することができます。
デジタルで教育コンテンツを提供する際、動画やアニメーションなどのデジタル技術によって、視覚的にわかりやすい表現をすることができます。しかし、人間の思考や理解の仕方を完全に再現することはできません。そこで、アナログの教材やワークシートなどを活用することで、人間の感覚や感情に訴えかけるような学習環境を整えることができます。
デジタルとアナログの融合は、これからの社会においてますます重要になるでしょう。それぞれの特性を理解した上で、適材適所で活用することで、より豊かで人間らしい社会を実現することができるはずです。
『アナロジア』は、デジタル技術が進化を続ける現代において、アナログの重要性を取り上げる書籍です。
著者のジョージ・ダイソン氏は、自然・人間・マシンの絡み合う4つの時代区分を定義し、本書を構成しています。
序盤の2章は、第一の時代である工業化以前の時代と、第二の時代である工業の時代を扱っています。
第1章「1741年」は、ベーリング・チリコフ探検隊によるアラスカ探検の時代を描きます。この時代には、人間は自然を征服し、資源を利用する力を獲得しました。
第2章「最後のアパッチ族」は、米政府による先住民制圧の歴史を描きます。この時代には、人間はマシンを活用して、先住民を排除し、領土を拡大しました。
これらの章では、自然・人間・マシンの軋轢が描かれています。人間は自然を征服し、マシンを活用することで、力と支配力を獲得しましたが、その過程で、自然と人間のバランスが崩れ、新たな問題が生じてきました。
このように、序盤の2章では、デジタル技術の登場以前の時代における、自然・人間・マシンの絡み合いが描かれています。
現在われわれは「第三の時代」に位置し、ChatGPTやニューラルネットワークの進化により、第四の時代の兆しが見えはじめてきている状況にあります。
そして、「第四の時代」において重要な主題として「アナログ」を取り上げるのが、『アナロジア』、(ラテン語で「アナログ」の意)の論点なのです。
デジタルコンピュータとアナログコンピュータの違い
デジタルコンピュータは、0と1の2進数で情報を離散的に処理するコンピュータです。一方、アナログコンピュータは、数値を連続的に、かつすべて同時に扱うコンピュータです。
デジタルコンピュータは、結果を共有・複製しやすく、現在の世の中において支配的な存在です。しかし、アナログコンピュータは、厳密に実態を反映可能であり、計測スピードやそれにかかる労力などの面でアドバンテージがあります。また、アナログコンピュータは、人間の脳のように曖昧さやエラー、ランダム性、無限の桁数を許容し、予期せぬひらめきを出力する可能性もあります。
実際にアナログコンピュータは、電圧などを計算対象に対応させる、といった方法で計算を行います。近年、アナログコンピュータへの注目が高まっており、マイクロソフトなどの企業がアナログコンピュータの開発に取り組んでいます。
具体的には、次のような違いがあります。
デジタルコンピューターは離散的であり、アナログコンピューターは連続的。
デジタルコンピューターの順次処理に対してアナログの並列処理などメリットやデメリットを並べると、ブルートフォースのような演算性能を持つデジタルにたいして並列的に演算処理を行う技術は、重ね合わせの原理を用いた量子もつれ現象に似ているように感じましたが、どうやらそうでもないようですね?
量子コンピュータとアナログコンピュータは、どちらも連続的な情報を扱うという共通点があります。しかし、量子コンピュータは、アナログコンピュータと異なる2つの特徴を持っています。
1つ目の特徴は、測定によって起こる重ね合わせの崩壊です。量子コンピュータの基本的な単位である量子ビットは、0と1の重ね合わせ状態をとることができます。しかし、量子ビットを測定すると、0か1のどちらかの状態に「収束」してしまいます。
アナログコンピュータでは、適切な測定機器を用いれば、量子ビットの重ね合わせ状態をそのまま読み取ることができます。そのため、アナログコンピュータは、量子コンピュータよりも多くの情報を扱っているように思えるかもしれません。
しかし、量子コンピュータの重ね合わせの崩壊には、メリットもあります。例えば、ショアの素因数分解アルゴリズムでは、測定によって必要ない重ね合わせ状態をシステムから取り除くことで、計算の効率を上げることができます。
2つ目の特徴は、量子もつれです。量子もつれとは、2つ以上の量子ビットが、ある種の相互関係を保つ現象です。量子もつれ状態の量子ビット同士は、遠く離れていても、お互いの状態が干渉し合うという性質を持っています。
アナログコンピュータでは、量子もつれ状態を実現することはできません。そのため、量子コンピュータは、アナログコンピュータよりも複雑な計算を高速に行うことができます。
このように、量子コンピュータとアナログコンピュータは、重ね合わせの崩壊と量子もつれの2つの点で、大きな違いがあります。これらの違いにより、量子コンピュータは、アナログコンピュータでは実現できないような計算を高速かつ効率的に行うことができるようです。
デジタルとアナログの融合と、機械と自然の共生。
『アナロジア』は、デジタル技術の発展が続く現代において、アナログの重要性を取り上げる書籍です。著者のジョージ・ダイソン氏は、デジタル技術の限界を補い、機械と自然の共生を実現するためには、アナログとデジタルの融合が必要であると主張しています。
この主張は、奇抜なものに思えるかもしれません。しかし、第五次産業革命やSINIC理論などの事例から、アナログとデジタルの融合は、現実的に実現可能な可能性が示唆されています。
第五次産業革命は、コンピューター技術とバイオテクノロジーの融合によって、新たな価値を創造する社会のことです。この社会においては、生物の脳神経を模倣するアナログ・コンピュータが重要な役割を果たすと考えられます。
SINIC理論は、情報化社会の到来を予測した理論です。この理論では、情報化社会の到達点として「自然社会」が提唱されています。自然社会とは、理性以外の存在が人間を駆動する社会であり、原始社会に循環的に戻ったとも言える社会です。
『アナロジア』内でも指摘されている通り、デジタルコンピュータを用いていても、それらを活用する人間のネットワーク・社会は、人間が駆動することでアナログコンピュータの様相を呈しています。
このように、デジタルとアナログの融合は、すでにさまざまな事例で実現されています。今後、アナログとデジタルの融合がさらに進むことで、機械と自然の共生が実現される可能性は十分にあるでしょう。
アナログ・コンピュータとデジタル・コンピュータのハイブリッド化。
生物の脳神経を模倣したアナログ・コンピュータの開発。
自然界を模倣した人工知能の開発。
これらの事例が実現することで、デジタル技術の限界を補い、機械と自然の共生を実現する新たな可能性が生まれるでしょう。
最後に、ジョージ・ダイソン氏は本書を自身の最後の書籍のつもりで書き上げたと語っています。
『アナロジア』は、デジタル技術の発展が続く現代において、アナログの重要性を取り上げる書籍です。著者のジョージ・ダイソン氏は、デジタル技術の限界を補い、機械と自然の共生を実現するためには、アナログとデジタルの融合が必要であると主張しています。
この書籍の読書体験は、単なる理論の学びにとどまりません。著者の16歳で家出して森林のツリーハウスで暮らすことになった体験に基づいたエピソードや、人間と機械の関係に関する洞察を文章として摂取することで、読者は、デジタルとアナログの融合というテーマをより深く理解し、自身の生き方や社会の未来について考えを巡らせることができるでしょう。
例えば、著者は、家出先の森林で、自然の美しさと厳しさを身をもって体験しました。この体験は、著者にとって、デジタル技術の限界と、アナログの重要性を理解するきっかけとなりました。
また、著者は、人間と機械の関係について、以下のような洞察を述べています。
人間は、機械を操る存在ではなく、機械と共存する存在である。
この洞察は、デジタルとアナログの融合というテーマと深く関連しています。デジタル技術の発展により、人間と機械の境界はますます曖昧になっています。これからの時代は、人間と機械が共存し、互いに補い合うことで、より豊かで持続可能な社会を実現していく必要があるでしょう。
このように、『アナロジア』は、理論と体験、そして洞察が交錯する感動の書です。AIやコンピューティングのみならず、歴史や哲学に興味がある方もぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。?
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